昭和のモノクロ井の頭公園3
2014-12-02


前回)からの続きです。

1976年5月撮影の真四角モノクロ写真。
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ここは「水生物園」の「弁天門(西門)」前です。
人物の左右に高木、その奥に階段が写っています。
撮影視点が少し低く感じられるのは、
私が二眼レフを普通にウエストレベルで構えていたからです。

この同じ場所で、現在の様子を撮影したものが次の写真です。
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新旧の写真について、風景要素を見比べてみます。

■階段
正面に写っているこの階段は、御殿山から水生物園へ下るアプローチです。
幅や勾配など昔から全く変わっていませんでした。
この特徴的な階段のおかげで、38年前の撮影場所を特定できました。
■植栽桝
これも昔と同じ場所に残っていましたが、次の写真のように、
一段低い植栽桝で更に囲われていました。
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■シンボルツリー
昔の写真では、階段を下り切った所に巨木が二本、ゲート代わりに聳えています。
今はどちらも撤去され(多分、老齢で弱ったためでしょう)、
替わりに細身の若木が一本だけ植えられています。
でも、若木の脚元に注意すると、
「円形の縁取りの玉石」が残っているのが辛うじて確認できます。
この玉石も、数年経つと完全に土中に埋もれてしまいそうです。

植え替えられたシンボルツリーの樹種を確認するため近づいて見ました。
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紅葉しつつあるハート形の葉っぱから判断して、「カツラ」と思われます。
幹の下方の樹皮がタテに裂けているのも図鑑どおりです。
でも上方の樹皮は、この写真でも分かるように平滑です。
「樹木の肌も、若木のうちはスベスベなのかな〓」
などと考えていたら、先ほどの階段を、賑やかな声とともに
「お肌スベスベの人たち」が下りて来ました。
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水生物園の見学に来た小学生ですね。
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そういえば、この写真に写っている水生物園の入場券売場も建て替えられているようです。
1976年頃の建物の様子が、次のように昔の写真の右奥に写っていました。
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木製の窓だからでしょうか、窓枠が太くゴツいです。
室内の照明も、多分むき出しの蛍光灯っぽいですね。
こんな何でもない昔の風情が懐かしいです。

さて、最後の写真を紹介したついでに、
ベンチに座った女房の両サイドにある二つの袋について考察してみます。

まず左側にあるレコード袋。
四つ並んだディスクの上に「新星堂」と書かれたロゴがあります。
これは、当時の吉祥寺駅ビル商店街「ロンロン」の中にあったレコード屋さんです。
今ではロンロンではなく「アトレ」になりましたが、新星堂は残っています。
店名もロゴも昔のままですよ。

一方、ついに分からなかったのが右側の小袋。
リスドォル "LYS D'OR" と読めます。
フランス語から直訳すると「金の百合」ですね。
また当時、日清製粉が同名のパン粉を売っていたそうです。

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[吉祥寺の風景 今昔]

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