50年前これは誰の見た風景?
2013-10-31


前回)からの続きです。

先日入手したキクKIKU16、購入直後に裏蓋を空けたらこうでした。
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フィルムが入っていたのです。
これって、誰かが入れたまま忘れていたのか?
4〓50年間くらい放っておかれた勘定になります。
取合えず巻き取って保管していたのですが、
ものは試しで現像してみる事にしました。

そしたら、何か写っているようです。
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10枚撮りのフィルムのうち、最後の方は光に当たって潰れてしまい、7コマ分のみ確認できます。

これを、スキャンしてみました。
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残念ながら、こんな風に、ほとんど何も読み取れない感じです。
だいたい、いつ、誰が、どこで撮影したのかも分かりません。
読み解くにも何の手掛かりもない写真です。
 
でも、警視庁の鑑識官になったつもりでジーッと眺めていると、何か見えてきたものがあります。
これらの写真が撮影された状況が、少しずつ想像できるような気がしてきました。
そのストーリーを念頭に、比較的ましな画像をデジタル処理して、
次の4枚の画像を救出しました。

私の描いたストーリーと共に紹介します。
国鉄仙石線の列車に乗って、石巻から仙台方面へ旅行中の少年とお爺さんの会話です。

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坊:爺ちゃん、海の向こう側に陸地が見えるよ。ちいちゃな島もたくさんあるよ。写真を撮っておこうっと。
爺:この辺は松島と言ってな、日本三景にも数えられる名勝地なんだよ。

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坊:今度は爺ちゃんを撮ってあげるよ。煙草を口にくわえたままでいてね。
(この頃は、電車の座席の前に「吸い殻入れ」が付いてましたね)

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爺:じゃあ、坊のことも撮ってあげよう。ほら撮れたぞ!窓の外の林も一緒に写っているぞ。
坊:でも、顔は逆光で黒くつぶれてるかも。それに、電車が動いているから、近くの風景は横に流れちゃうよ。

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坊:また、景色が良く見えるよ。手前に道路があって、海の中に「にぎり寿司」のような島がいくつもあるね。
爺:おお!本当だ。道路(45号線)越しの景色が美しいなあ。
坊:ここも写真に撮ったよ。家に帰ったら写真屋さんに持って行くよ。きれいに撮れてるといいね。

と言いつつ、家に帰った少年は別の遊びに夢中になり、キク16の事は完全に忘れてしまいました。
そして、それから50年の歳月が過ぎ、他の家財道具と共に整理される運命になったキク16は、撮影済みのフィルムが入ったまま裏蓋を開けられることもなく人手に渡り、最終的には私の元にやってきました。

と、この推測は当たっているか外れているか、確かめようがありません。でも、
煙草を吸うお爺さんの写真、この一枚だけは何故か比較的良い保存状態だったのです。
何か「ワシを見つけてくれ、そして家に帰してくれ」というお爺さんの思いが伝わってくるような気がしました。
どなたか、これらの写真に思い当たる点がありましたら、ご一報下さると嬉しいです。


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[カメラには名前あり]

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