これは1974年に撮影した西武池袋線の線路です。
画面中ほどに、外部階段を持つ4階建てのアパート「メゾン目白」が写っています。
ここが日活ロマンポルノ「ピンクのカーテン」の舞台です。
という事を先日、偶然に知りました。
このようないきさつです。
ジョージ秋山の「銭ゲバ」や「浮浪雲」を愛読していた私は、やはり彼の漫画「うれしはずかし物語」が映画化(1988年 監督:東陽一)された時に見に行きました。
川上麻衣子が、ガードの甘めな女子大生を好演していて、期待以上の面白さでした。
そんな事もあり、先日WOWOWの番組欄に同じ原作者の「ピンクのカーテン」(1982年 監督:上垣保朗)を見つけた時、普段はポルノ映画などは決して見る事の無い私も、ちょっと見てみようという気になりました。
映画は、恋愛一歩手前の危険な関係にある兄(悟)と妹(野理子)が暮らすアパート(下の写真)を舞台に繰り広げられます。
題名通り、窓にピンクのカーテンがかかっています。
野理子を演じた美保純がこの映画によって一躍スターの階段を駆け上った日活ロマンポルノの傑作、と言われています。
映画評は今日のテーマではありません。
映画を観ていて私が気になったのは、画面に映る景色の妙な「懐かしさ」でした。
それも「懐かしい昭和の香り」という類いではなく「この景色、見た事ある!」
という感覚です。
話の筋は置いておいて、背景を注視すること数分間、そこに写っているのはまさしく目白の上り屋敷の風景だと確信しました。
そして私蔵写真を探ってみたら、最初の一枚が出てきたという訳です。
別の角度から、このアパートの外観を撮影して映画と比較してみました。
映画(上)/現状(下)です。まず北側から線路越しに。
東側から
懐かしい場所を同様に比較してみました。
アパート近くの山手線脇のガードを北と南から。
読売PR、婦人之友社、バーノーブルなどの看板が見えます。
また、次の場面は大変貴重です。
手前の踏切は「長崎道踏切」、左手奥のガードは「高田架道橋」です。
踏切は2006年春に惜しまれつつ消滅し、ガードは無惨なコンクリートトンネルになりました。
これだけしっかり映像として記録されているものは少ないはずです。
私も昨年「
長崎道踏切と高田架道橋」でレポートした事があります。
映画の中では、ピンクのカーテンのかかった窓を開けて、野理子が池袋のサンシャイン60を遠く仰ぎ見る場面が何度も出てきます。
その画面の下の方にも小さく架道橋が写っています。
ガード脇の法面の緑に風情があります。
「昔に戻して!」と訴えたいです。
---(この項
続く)
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