1975年の春に雑司ヶ谷霊園で撮影したポートレートがあります。
画角から判断して、使用機材は NikonF2+Nikkor105mm/f2.5 です。
落ち着いた霊園の雰囲気は昔も今も変わりません。
背景のボケ方が丁度良いです。
このようなボケ味を求めて、最近フォクトレンダーのアポランター90mm/f3.5 というレンズを手に入れました。これをライカVgに装着して、霊園に行きました。
今回のモデルは荻野吟子さんです。
霊地番号1種5号23側35番に永眠されている女性です。
樹木の隙間から射し込む午後の光はやや気まぐれでしたが、丁度お顔に光が当たる時を狙ってシャッターを切りました。
写真の腕はともかく、レンズの特性は期待通りです。
荻野吟子さんは明治時代の旧習と闘いながら、大変な苦難の末、日本初の女性医師となられた有名な方です。女医のかたわら、東京の九段下にあった「明治女学校」にて校医を勤め生理・衛生科目を教えてもいたそうです。
その女学校で学んだ羽仁もと子さんが創設した「自由学園」が目白にあり、羽仁もと子さんのお墓も雑司ヶ谷霊園の中で、この近くにあります。
そのような関連からでしょうか、この日もリュックを背負い「雑司が谷MAP」を手にした男性の先客がいました。そして吟子さんの写真を撮っていました。
私も半年前の散策の途中に標準レンズ(Summicron50mm/f2)で撮影してました。
下の写真がそれです。説明的で面白くありません。
それで、新しいレンズを携えて今回リベンジしてみたのです。
せっかく霊園に来たので、レンズの性能チェックを兼ねて何枚か撮りました。
まず、霊園の中のあちこちに咲いている曼珠沙華。
朱色が逆光に透き通ってきれいですが、良く見るとちょっと不気味な感じもします。
次に苔むした園路をこれも逆光で。
オールドレンズは逆光時にフレアーが出ることが多いのですが(それが味という意見もあり)、このアポランターは割合最近の製品なのでコーティングがしっかりしているせいか良好なコントラストを見せています。
バルナックライカ用のLマウントレンズはもう需要が無く、このレンズも昨年製造中止になっていました。今回、中古ながらmintな状態のものを何とか手に入れることができて良かったです。
参考までに各写真の使用フィルムは次の通りです。
1975年5月:Kodak TRI-X(懐かしい!)
2012年5月:富士 X-Tra 400(いわゆる大衆向け常用ネガカラー)
2012年10月:富士 PROVIA 100F(渋めの発色がプロっぽいリバーサル)
セコメントをする