特徴のない風景だが(1)
2012-10-09


目白にも特徴のない道があります。
というよりも、日本の街で普通の人が暮らしている所のほとんどは、特に目立つものもなく言わば「特徴のない場所」なのかも知れません。
それが普通の人の日常生活の場ですから。
下の2枚の写真は、それぞれ1974年と2012年に同じ場所から同じ方向を向いて撮影されたものです。
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これを見て、「同じ場所です」と言われたら、「そうは見えないけど、まあ、撮影した人間がそう言うのならそうなのだろう」と思うでしょう。
実は私も約40年前にカメラをぶら下げて、特に目的もなく適当にシャッターを切っていたので、どこで撮影したのかは定かではないのでした。昔の写真の大谷石の石塀でも残っていれば、候補地の付近を探しまわれば辿り着く可能性は高いのですが、ざっと調査した範囲では同じような石塀は見つかりませんでした。

でも何とかもう一度この場所に出会いたいと思い、昔の写真をルーペでしつこく見回しました。電柱や街灯や道路標識など、場所を特定するのにヒントになりそうな特徴を探しました。でも公共物では役に立ちそうなヒントはなさそうです。
何とか考えついたのが、昔の写真の右上に写っている屋根の上の3本の増築用柱です。この家の方が増築用の柱を利用して3階建てにでもしていれば、上に増築した事が明確な形の建物が建っているのではないかと考えたのです。
柱の部分を拡大してみたのが次の写真です。
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この予想は大当たりでした。何と!いくつかの候補地を探しまわったら、増築した建物ではなく、この柱がそのまま残っているお家があったのです。庭木越しにかすかに確認できました。(個人のお家なので写真は撮りませんでした)
それでこの撮影場所を特定できたという訳です。

でも面白いものですね。
石塀のように何十年でも存在を主張しそうな構築物が消え去る一方、増築用の柱という建物を変化させる(増築させる)ためにあらかじめ仕組まれた物が、結局使われる事なく全く変化せずに40年も存続しているなんて。
街の風景がどのように変化して行くかは予測不可能なようです。
[目白の風景 今昔]

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