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前回)からの続きです。
127フィルムの作り方を究めたつもりが、また課題が生じました。
市販品と同じフィルム幅(46mm)とほぼ同じ寸法で作ったはずが、
現像段階でフィルムリールに巻き込む時に、少し手こずるのです。
このパターソンのリールは見かけよりもかなり繊細で、
フィルム端部と写真中央に写っているベアリングの噛み合わせが悪いと、
なかなか巻き込めず、何度もやり直しを強いられます。
何回か作業した経験から言うと、製品規格値の46mmは、
パターソンの現像リールには少し大きすぎて、
望ましいのは45mm程度でした。
一方、少なすぎるとベビーローライのオートマットが効かなくなるし
(前回確認済み)、悩ましいところです。
そこで厳密に45.5mmの幅で製作できる方法にシフトしました。
これまでは次の写真のように、
127フィルムと16mmフィルムを切り分ける一石二鳥方式でした。
この方式の欠点は、切り出し時にフィルムが若干蛇行すると、
1mm幅程度の製作誤差が生じることです。
それで、16mmフィルムを諦めました。
フィルムの中央部のみを利用し、両端は捨ててしまうのです。
切り分け用の「刃」を前回の一枚から次のように二枚にしました。
この方式ですとフィルムに均等に力が加わるので、
フィルムは蛇行せず、万一蛇行しても切り出し幅は変わりません。
この二枚刃の位置に対応して、フィルム圧板の溝も開け直しました。
この写真で、中央寄りの穴がこれまで使用していた溝です。
やはり、二兎を追うものは一兎をも得ず、ですからね。
と16mmフィルムを放棄した自らの潔さに酔っていると、
まだまだ落とし穴がありました。
ダークバックの中でフィルムを切り出すために、
「切り出し機」の側面の巻き上げノブを回していると、
途中で固くて回せなくなりました。
これまでは「刃」一枚分の抵抗だったのが、
二枚刃にしたために抵抗力が倍になってしまったわけです。
途中でギブアップして、取り敢えず切り出し機の蓋を閉めて、
何か良い道具がないか沈思黙考しました。
「ペンチで挟んで回すのでは芸がないしな〓」
そこで閃きました!
「吸盤オープナーの出番だ!」
この写真で切り出し機の右側にあるゴム製のリングセットです。
主にレンズ清掃時に、リングやレンズ類を傷を付けずに回す道具です。
このうち適当な大きさの穴を選び、巻き上げノブに嵌め込んで回すと、
あら不思議、軽々と回っていくではありませんか。
やはり道具は大事です。
そしてフィルム切り出し後の遮光紙部分を、
捨てる前に試しに巻き取ってみると、見事に幅が揃っていました。
製紙工場で出荷待ちをしているロール紙のようでしょう。
実際、これまでは目標寸法は45.5±0.5mmと、
ある程度の誤差を容認していましたが、
今回自作したフィルムの製作誤差は0mm(検出不能)でしたよ。
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